その便秘こそ大腸ガンの黄信号
その便秘こそ大腸ガンの黄信号
4章 きれいな腸を取りもどそう
(1)悪玉菌が引き起こす腸内汚染とは腸内汚染の原因、悪玉菌 一方、ウエルシュ菌に代表される悪玉菌は、腐敗菌、ガス産生菌ともいわれます。
腸の中の菌が悪玉菌優位だと、便秘になる、大腸ガンになりやすいことのほかにも、ガスがでる、ガスが臭い、おなかが張る、おなかが痛い、口臭がする、体臭がする、肌が荒れる、頭が痛い、など様々な症状の原因になります。
赤ちゃんのときは、ビフィズス菌が優位だったのに、だんだん年を取るにつれ、悪玉菌が増えてきます。善玉菌優勢から悪玉菌優勢に変わることを菌交代といいます。最近、生活環境の変化に伴って、比較的早い時期に菌交代が起こるようになってきているようです。つまり若い人に悪玉菌が増えているということです。悪玉菌は、人間にとって有害な物質を作りますので悪玉菌の多い腸は、有害物質や有害ガスで汚染された腸です。有害物質は大腸粘膜の豊富な血管から血液中に溶けて、全身に運ばれます。有害物質が肺から排泄されたら口臭になりますし、皮膚から排泄されたら体臭や肌荒れの原因になります。こういう汚い腸が腸の中だけでなく、全身を汚してしまうのです。
どうして、菌交代は早くなったのでしょう?
大腸ガンや便秘のときと同じく、ここでも食生活の欧米化が原因です。悪玉菌は、タンパク質を栄養として生きていますので、肉食中心の人の腸内腸内に多くいます。米やいも、豆などの炭水化物が中心の人には、炭水化物を栄養とする善玉菌が多くいます。食事の内容が欧米化すると早い時期に菌交代が起こってしまします。食物繊維が摂取量が少ないのも菌交代を早める一因です。
他にも、ダイエットは菌交代を早めます。飢餓状態は、大腸の中の便を空っぽにしてしまいます。大腸の中にはふつういつも1kg以上の便があり、そのおよそ半分は腸内細菌なのですが、ダイエットをして飢餓状態になると、腸が空っぽになります。100兆あった善玉菌優位の腸内細菌が少なくなると、その後で分布が一気に悪玉菌優位に傾いてしまうのです。
下剤の乱用も同じ理由で、菌交代を早めます。便秘のあとの下痢状態が便と一緒に善玉菌も排泄してしまい、腸が空っぽになってしまうのです。善玉菌が少なくなると、悪玉菌が勢力を伸ばします。
このほかに、抗生物質も菌交代を早める大きな原因となっています。かぜでも何でもちょっと熱がでるとすぐに抗生剤が処方されます。確かに悪い菌は死にますが、口から飲んだ抗生剤は腸の中も通りますので、腸内細菌はみんな死んでしまいます。善玉菌がいなくなると、その勢いをかって悪玉菌が増えるのです。
大腸ガンを引き起こす悪玉菌とは、いったいどんなものなのでしょう。
腸内菌には非常に多くの種類があるのですが、大別すると乳酸菌と腐敗菌とに分類されます。乳酸菌は主に炭水化物を食べる善玉菌で、腐敗菌はタンパク質を食べます。これが悪玉菌と呼ばれるようになります。
腐敗菌がタンパク質を分解すると、アンモニア、硫化水素、フェノールアミン、インドールといった物質ができますが、オナラや便の悪臭は、これらが原因になっています。
臭いだけならまだしも罪は軽いのですが、このうちフェノールアミンやインドールは、大腸ガンを引き起こす発ガン物質なのです。
さらに大腸内にはガンを引き起こす物質が作り出されています。それは二次胆汁酸です。
胆汁は主に脂肪を消化する消化液で、胃に脂肪を含んだ食物が入ると、自動的に分泌されます。脂肪の量に敏感に反応する特徴があり、肉など脂肪の多い食品を消化するときは、胆汁の貯蔵場所である胆のうの活動が盛んになります。
胆汁酸は、小腸で脂肪の消化を手伝い、それを終えると一部は吸収されて、製造元である肝臓に戻ります。しかし、食べた脂肪の量が多いときは、分泌された胆汁量も多くなるために、その一部が大腸に流れ込んでしまうのです。
大腸の中にはウェルシュ菌や大腸菌といった腐敗菌があり、これらが流れ込んだ胆汁酸に作用することによって、胆汁酸は二次胆汁酸に変換されます。この第二次胆汁酸もまた恐ろしい発ガン物質なのです。
腸内の細菌叢を善玉菌に変えることは便秘治療の第一歩ですが、同時に大腸ガン予防の第一歩でもあるのです。
81
腸内汚染の原因、悪玉菌
この記事は私が2001年7月に上梓した一般人向けの本『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)からの抜粋です。昔の記事ですので今の考え方と違うところもありますが、あえて訂正せず原文のままでご紹介します。
コメント