この記事は私が2001年7月に上梓した一般人向けの本『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)からの抜粋です。昔の記事ですので今の考え方と違うところもありますが、あえて訂正せず原文のままでご紹介します。
その便秘こそ大腸ガンの黄信号

その便秘こそ大腸ガンの黄信号
 3章 まずは便秘の予防から
  (1)間違いだらけの便秘常識

便秘と下痢を繰り返す「過敏性腸症候群」

この疾患の患者さんを検査してみると、大腸に炎症があるわけでもなく、腸内の粘膜も正常なままです。ただ、腸が精神状態の変化に影響を受けて過敏に動くために起きる症状で、言ってみれば「胃痙攣の大腸版」という感じです。
症状は、下痢と便秘を繰り返します。
過敏性腸症候群というのは痙攣性の便秘で、腸の動きが良すぎて腸の中で順に便を送っていく正しい蠕動運動が行なわれず、ただ痙攣しているだけなのです。
ただ腸が痙攣しているだけで、便が前に送られることがないということは、便はどんどん固くなり、次にはその場でこなごなに壊れてダーッと動いた後、止まってしまって便秘になります。
逆に、固い便が出た後は、腸の痙攣に伴って、まだ大腸内で吸収されない液体が凄い勢いで出るので、下痢になります。
原因は、過度のストレスが引き起こすと考えられています。
強いストレスを受けて自律神経の機能が乱れ、下痢をしたり、便秘になったりします。
したがって、通勤時の電車内とか会議中など、何らかのストレスがかかったときにこの症状を起こしやすいのです。
もともと腸の動きが良すぎるための便秘なので、市販の便秘薬である腸管刺激薬はむしろ症状を悪化させます。本人としては原因がよくわからないまま、下痢と便秘を繰り返すようになり、いっそう不安感が強くなります。
過敏性腸症候群の一番の問題は、安易に「過敏性腸症候群」との診断が行なわれていることです。
つまり、下痢や便秘を繰り返す人に対して検査もしないで診断してしまうのです。
本来、大腸内視鏡検査などを行ない、大腸ガンや慢性的な大腸の炎症性疾患などの病気がないことが確認されたうえで初めて診断されるものでなければなりません。
頻度的に見れば、大腸ガンや慢性腸炎症性疾患などよりずっと多いですが、しかし、医者は占い師でもなければ、予想屋でもありません。ただ当てればいいというものではないのです。頻度が少なくてもガンを見落とせば罪は重い。
大腸ガンも便秘と下痢を繰り返すことがあります。症状だけからは区別できません。大腸ガンでないことを確認して、初めて過敏性腸症候群と診断して欲しいものです。

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