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「まえがき」より

 私が大腸ガンとの徹底的な闘いを決意したきっかけは、父親が大腸ガンになったことでした。それ以降、大腸内視鏡検査の専門医として「大腸ガンの撲滅」を目標に、これまでに一万人を越える方の検査を行ない、その中で三〇〇人以上の大腸ガン患者を見つけてきました。臨床をやっていると、中高年の方にすごい勢いで大腸ガンが増えていることを実感します。近い将来、大腸ガンが日本人の死因トップの座に躍り出るのではないかとも予想されています。
 大腸ガンが近年日本で急増しているその原因は、食生活の欧米化、すなわち近年急激に脂肪の多い肉食中心に変化したこと、また、食物繊維をあまり摂らなくなったことだといわれています。
 一方、大腸ガンの増加と平行するようにして深刻な便秘に悩んで病院を訪れる方も急増しています。
 女性の三割以上が便秘だと言われますが、食物繊維の摂取不足、ダイエットブーム、女性の社会進出などが原因とされています。ときどき便秘薬を一度に100錠飲んでも効かなくなったというような人が病院に来られます。習慣性・依存性のある下剤から脱却し、自力での排便習慣を回復する。それが将来の大腸ガンの予防のためにも必要です。
 食生活の変化(高脂肪・低繊維食)が便秘と大腸ガンの増加にどうかかわってくるのでしょう?
 それは、宿便、腸内細菌等の腸の汚れが原因だったのです。 ひどい便秘になると、腹痛、頭痛や吹き出物、肌荒れ、あるいはオナラが臭くなったり、体臭や口臭がきつくなったりという症状が伴います。実はこうした不快な症状は、便秘によって腸内細菌の環境が悪くなり、腸が汚れるから起こるのですが、この腸の汚れこそ大腸ガンの要因でもあるのです。
 それを治療するには一度腸内を空っぽにする必要があり、その手段として「腸洗浄」が有効です。「腸洗浄」は、100兆の悪玉菌を一日100億のビフィズス菌で総入れ替えするのに通常30年かかると予想される腸内環境を一日にして変える、まさに「腸内革命」です。
 腸内を完全にクリーニングして、善玉菌が活躍する腸内環境を作ることができれば、便秘と大腸ガンを同時に予防するだけでなく、身体の内から美しく健康になることができるのです。

医師  後藤利夫