2016年07月

この記事は私が2001年7月に上梓した一般人向けの本『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)からの抜粋です。昔の記事ですので今の考え方と違うところもありますが、あえて訂正せず原文のままでご紹介します。
その便秘こそ大腸ガンの黄信号

その便秘こそ大腸ガンの黄信号
 3章 まずは便秘の予防から
  (2)「ダイエット便秘」が急増中

医者でもあまり知らない、カリウム不足による便秘

長期間ダイエットをしている人や、下剤を連用している人の中に低カリウム血症の人がいます。血清カリウム血が3.0以下の人はカリウムが低いせいで便秘になっている可能性があります。
こういう人の便秘に、下剤を投与するとますます悪化してしまいます。もし不足していたら、経口カリウム剤を適量飲むべきです。経口カリウム剤は、腎臓の病気がない限り、飲み過ぎても尿にでるだけなので、心配ありません。この疑いのある人は水を飲む代わりに、ポカリスエットを飲むようにする方法もあります。

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この記事は私が2001年7月に上梓した一般人向けの本『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)からの抜粋です。昔の記事ですので今の考え方と違うところもありますが、あえて訂正せず原文のままでご紹介します。
その便秘こそ大腸ガンの黄信号

その便秘こそ大腸ガンの黄信号
 3章 まずは便秘の予防から
  (2)「ダイエット便秘」が急増中

ダイエットのやりすぎで、必要な腸の筋肉までなくなる

私は、こうした〝ダイエット便秘〟の女性を何十人も診察していますが、彼女たちの中には、過度なダイエットの結果、全身の筋肉量が減ってしまって筋力がひどく低下している人がいます。便を自力で押し出すための腸の筋力や腹圧をかける腹筋も弱くなります。
彼女たちは異口同音に「便がもうすぐ出そうなところまで来ているのに、自分の力では出せない」と訴えます。
だいたい、人の便というのは、おへその左側のやや下に位置するS状結腸あたりで止まっているものですが、腸の筋肉まで痩せてしまっている人は、ここにある便を直腸から外に押し出す筋力さえありません。本人も、腸が腸自身の力で便を押し出すことができないことを自覚していますから、このS状結腸のところにある便を、お腹の上から手と指でギューッと強く押し出すのです。
そんなことができるのか、と思われる方もおいででしょうが、ものすごく痩せている人は、お腹の上から容易に結腸にある便を触ることができます。
いつも指で便を押して排便している人たちは、おへその左下あたりを強く押してばかりいますから、その部分の皮膚が変色してしまっています。それは、見ていて本当に気の毒なほどです。
さらにひどい便秘の人は、自分で摘便する人もいます。摘便というのは、乾燥しきってコチコチに固まってしまった直腸の便を指でほじくり出す作業です。これは通常は、老化に伴って筋力が低下して自分で排便ができない老人に対して看護婦さんが行なっているケアの一つです。
若い人がそうしないかぎり排便できないというのは、過度なダイエットのおかげで、筋力が老人たちと同じくらいまで低下してしまったということでしょう。
とても悲惨な事実です。

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この記事は私が2001年7月に上梓した一般人向けの本『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)からの抜粋です。昔の記事ですので今の考え方と違うところもありますが、あえて訂正せず原文のままでご紹介します。
その便秘こそ大腸ガンの黄信号

その便秘こそ大腸ガンの黄信号
 3章 まずは便秘の予防から
  (2)「ダイエット便秘」が急増中

痩せると腸が伸びて便秘になる?

あまり知られていませんが、人間の腸は、ダイエットすることによって伸びてしまうのです。腸は、ハウストラというアコーディオンのジャバラのような構造になっていて、腸壁の外側(ジャバラの谷間の部分)には脂肪が着いています。
ところが、痩せて脂肪が減ってくると、この脂肪によって作られていたジャバラの谷間の部分がなくなって、全体が長く伸びきってしまうのです。
腹部は痩せて小さくなっているのに、腸はどんどん長くなってしまうのですから、大腸はお腹の中で折りたたまれた状態となります。それに、腸の長さが長くなれば、それだけ便は長時間滞留しますから、ますます便の水分が吸収されて、便通が悪くなるのも当然の結果でしょう。
やせている人には胃下垂が多いと言われますが、それは、内臓を支えるべき腹直筋が、痩せすぎることによって胃を支えていられなくなったことによって腹腔の下まで下がるわけで、胃下垂に伴って、腸も下がってしまいます。
大腸は右腹にある「上行結腸」と、左腹の「下降結腸」の部分は固定されていますが、横に通っている「横行結腸」は固定されていないので、そこが腹腔の下部までグッと垂れ下がります。これが腸下垂です。
腸下垂が起きることによって、便秘はますますひどくなり、やがて下腹部が張ったり痛んだりするようになります。やせている人で食後、お腹の真ん中あたりがひどく張り、痛見もあるようだったら、腸下垂を疑うべきです。

★図版(ハウストラの脂肪の有無による変化と、腸下垂イラスト)

このように女性の便秘の原因は、第一にダイエットによる食事の量の減少による便の量の減少、第二は、ダイエットと腸が伸びてしまったことに伴う腸下垂。そして第三の原因として挙げられるのが、ダイエットのために下剤を濫用したことによって起こる便秘です。
「ダイエットでスリムな体型になりたい」と熱望する女性たちの中には、便秘そのものを極端に恐れる人も少なくありません。
何より「余計なものが詰まっているお腹をへこませたい。膨らませておきたくない」「便さえ出れば、その分体重が減る」と強く思っているからです。
そこで、大量に下剤を飲むのです。これが便秘をひどくすることは前に述べました。

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この記事は私が2001年7月に上梓した一般人向けの本『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)からの抜粋です。昔の記事ですので今の考え方と違うところもありますが、あえて訂正せず原文のままでご紹介します。
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その便秘こそ大腸ガンの黄信号
 3章 まずは便秘の予防から
  (2)「ダイエット便秘」が急増中

女性の三人に一人は便秘──増加中の「ダイエット便秘」

便秘は大腸ガンのリスク・ファクターですが、何と言っても便秘といえば女性たちでしょう。大雑把に言って、女性の三人に一人は便秘がちだといいますが、特に、最近は「ダイエット便秘」に悩む若い女性たちが増えています。
日本女性の「スリム願望」は、医師から見ると異常なほど強く、肥満でない女性、というより、すでにかなりスリムな女性たちまで競ってダイエットに励んでいるのが現状です。
ところが、過度のダイエットや間違ったダイエットは、多くの弊害を招きます。
ダイエットで食事の量を減らすと、便の量も減るので便秘になりやすい。お通じが出なくなると腸が汚れやすくなる。そうしてますます便秘になる。
特に便秘ではなかった人が、ダイエットをきっかけに頑固な便秘になり、そのせいでひどい肌荒れが起きたり、頭痛その他の不快な症状に悩まされるようになったという相談が最近目立ちます。
私は、これを「ダイエット便秘」と名づけています。
この年代の人がガン年齢にさしかかると日本人の大腸ガンが増えてこないか心配です。

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この記事は私が2001年7月に上梓した一般人向けの本『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)からの抜粋です。昔の記事ですので今の考え方と違うところもありますが、あえて訂正せず原文のままでご紹介します。
その便秘こそ大腸ガンの黄信号

その便秘こそ大腸ガンの黄信号
 3章 まずは便秘の予防から
  (1)間違いだらけの便秘常識

便秘と下痢を繰り返す「過敏性腸症候群」

この疾患の患者さんを検査してみると、大腸に炎症があるわけでもなく、腸内の粘膜も正常なままです。ただ、腸が精神状態の変化に影響を受けて過敏に動くために起きる症状で、言ってみれば「胃痙攣の大腸版」という感じです。
症状は、下痢と便秘を繰り返します。
過敏性腸症候群というのは痙攣性の便秘で、腸の動きが良すぎて腸の中で順に便を送っていく正しい蠕動運動が行なわれず、ただ痙攣しているだけなのです。
ただ腸が痙攣しているだけで、便が前に送られることがないということは、便はどんどん固くなり、次にはその場でこなごなに壊れてダーッと動いた後、止まってしまって便秘になります。
逆に、固い便が出た後は、腸の痙攣に伴って、まだ大腸内で吸収されない液体が凄い勢いで出るので、下痢になります。
原因は、過度のストレスが引き起こすと考えられています。
強いストレスを受けて自律神経の機能が乱れ、下痢をしたり、便秘になったりします。
したがって、通勤時の電車内とか会議中など、何らかのストレスがかかったときにこの症状を起こしやすいのです。
もともと腸の動きが良すぎるための便秘なので、市販の便秘薬である腸管刺激薬はむしろ症状を悪化させます。本人としては原因がよくわからないまま、下痢と便秘を繰り返すようになり、いっそう不安感が強くなります。
過敏性腸症候群の一番の問題は、安易に「過敏性腸症候群」との診断が行なわれていることです。
つまり、下痢や便秘を繰り返す人に対して検査もしないで診断してしまうのです。
本来、大腸内視鏡検査などを行ない、大腸ガンや慢性的な大腸の炎症性疾患などの病気がないことが確認されたうえで初めて診断されるものでなければなりません。
頻度的に見れば、大腸ガンや慢性腸炎症性疾患などよりずっと多いですが、しかし、医者は占い師でもなければ、予想屋でもありません。ただ当てればいいというものではないのです。頻度が少なくてもガンを見落とせば罪は重い。
大腸ガンも便秘と下痢を繰り返すことがあります。症状だけからは区別できません。大腸ガンでないことを確認して、初めて過敏性腸症候群と診断して欲しいものです。

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